「遊木。」

腰にくる低い声が聞こえてくる。

「麗莉いこ。」

「うん、まぁいいけどササどうする?」

「笹音なら、竹斗先輩が何とかするでしょ。あたしは、トニカクあいつから逃げたい。」

「そうね、あたしも可愛いあたしの美雨をさらわれたくないし。」

「あはは・・・」

苦笑を返しながらも、確実に歩を進める。

「おい、待てよ」
「いや、無理でしょ」
「なんでだよ。」
「いや、まぁ、その、ね。」
「なんなんだよ!?」
「別に。」
「じゃあ、止まれって」
「それは、いや。」

あいつ、麗莉、あいつ、あたし、麗莉の順で会話が進んでいく。
あたし達二人がコイツを嫌がる理由・・・

それは。。。

こいつは、極度のボディータッチ好きだからだ。
無駄に触ってくるあたりがほんとに気持ち悪い。

「ねぇ、麗莉。」
「なぁに?」
「そろそろ、警察に訴えてもいいかな?」
「いいんじゃない?」
「ダメに決まってんだろ!?」
「うるさい、あんたが気持ち悪いからいけないんでしょ!」

麗莉が怒ると、

「どうして?触ってるだけだろ?」
「その触るのがいけないの!!ホントッ気持ち悪い。」
「えぇ~、そこまで言わなくてもよくね?」
「そこまで言う位気持ち悪いの!!」

二人が、テンポよく会話しているので、
私はそのままこっそり階段を上り、ずらかる。