夢を壊して悪いけど、あたしはピアノを弾きながら、
「あぁ、あしたは燃えるゴミの日だな…」
とか、そーいう感じのことなんかを考えてたりもするんだよね、実は……。
「それで、なんとかして話しかけるきっかけが欲しくて、お店の人にどうしてもと頼み込んで、ようやくあなたのお誕生日を教えてもらったっていうワケですよ」
「なるほど。それはお手数かけましたね」
「はい。たいへんでした。フフフ…」
「フッ。でも苦労して話しかけたわりには、あたしがまともにお酒も飲めない“おこちゃま”でガッカリされたでしょ?」
「いえいえ、ガッカリなんてとんでもない。40前の男があなたのような若い女性とご一緒できるだけで光栄です」
「へぇ、秋吉さん、もうすぐ40歳なんですか。オトナだ……」
あたしはしみじみ、そう思った。
「オトナってゆうか“オヤジ”ですけどね。ハハハッ」
「あたしなんか今日、誕生日で、また1歳トシをくったっていうのに、全然オトナになれていない気がしますよ」


