桜場寛也に土下座をされた翌日、

つまり月曜日の放課後―――――


あたしは合唱部員・男女合計26人の52個の好奇の目の前にさらされていた。


「え~、今度、骨折した僕の指が治るまでのあいだ、“ヘルプ”として合唱部に入部してくれることになった池田蓮華さんです」

アイツがあたしを紹介してくれている。


「そっ、蓮華ちゃんですぅ♪一度聞いたら忘れないよね~♪」

桜場は初対面どうしピンと張り詰めた場の空気をなごませるために言ったんだろう。

でも、その、ちょっとウケねらいっぽかった発言も、26人の部員たちの中で反応してくれたのは千恵ひとりだけだった。

「まぁ、彼女も突然こんなところに連れてこられてとまどってるだろうし、分からないこととかもあるだろうからみんなでフォローしてあげてくださいね」

「はい」

男子部員の何人かは、そう答えたくれてたみたいだけど女子では千恵ひとりだけだった。

「じゃあ“蓮華ちゃん”のほうから、自己紹介お願いします」

「あ、はい…」