恋華(れんげ)


だけど飲めない人間が無理して飲んだところで、いいことなんてあるはずもなく……


「オエーッ!」


あたしはクラブの大事なお客さんに向かって思いっきしゲロってしまった…。

最近よくあたしを指名してくれてたIT企業の若社長さんのブランドもののスーツが、あたしのゲロまみれになっちゃった……。


もう、この店にはいられない―――


その夜、あたしは“ホステス”と“ピアノ弾き”の仕事を同時に……そしてピアノを弾いて生きていくっていう“夢”を失った。



帰りの電車に揺られながら、いろんな考えがグルグルと頭の中を巡った……。


まだ昼間のコンビニのバイトは残ってるから収入ゼロになるわけじゃないけど、それだけで生活していけるとはとても思えない。

なんか新しい仕事でも探すかな…。

お赤飯まで炊いてお祝いしてくれた母さんには怒られるだろーな、まちがいなく……。


それにしても……