恋華(れんげ)


「とにかくさぁ、蓮華さん、あんな浮気オトコとは別れたほうがいいよ!」

「はいはい…」

あたしは軽くあしらうように言った。


アンタになんか言われなくても、とっくの昔に別れてんだよっ。


「ウソじゃない、って! ホントにアイツは浮気してるんだ、って!」

博士モドキがムキになったみたい言ってる。

「あ~もぅ、営業妨害ッスから、何も買わないんなら帰ってくださいッスっ」

見かねたように髙木くんが、博士モドキの腕をつかんで店の外に連れ出してくれた。

店の中から見ていると、しばらくは抵抗していたけど、やがて諦めたように博士モドキはどっかに行ってしまった。

「ありがとう」

店内に戻ってきた髙木くんに言った。

「いいッスよ。“これ以上、しつこくするとケーサツ呼ぶ”って言ったら、アイツ、急におとなしくなって帰っていっちゃったッスよ」

「ごめんね、迷惑かけて」

「“困ったときはお互いさま”ッスよ」