恋華(れんげ)


「えっ!? それはまずいよっ。またバイトがんばって自分のカネで買うからいいよっ」

「バイト代が入るのはまだ先のことでしょ? それまでのあいだ、ずっとライブはお休みにするつもり?」

「………」

「あたしも自分がピアノ弾くから分かるんだけど、ギターだって毎日弾いてないと腕がなまっちゃうんじゃないのかな?」

「そりゃそうだけど、でも……」

「遠慮しなくていいよ。あたしが払うぶんのギターのお金は、あとでバイト代が入ったときに返してくれればいいんだから」

「………」

「これはあたしからの感謝のキモチだと思って、素直に受け取ってほしいな♪」

「え?感謝の気持ち?」

「貴志があたしの部屋に来てくれるようになったおかげで、例のストーカー男も最近じゃ、アパートの付近に現れないようになったし、あたしもいつかお礼しなくちゃいけない、ってずっと思ってたんだ」

「………」

「だから遠慮しないで、今回はあたしにギターをプレゼントさせてよ♪」

「………」