するとカレは答えた。
「あんな酔っ払いオヤジなんか殴って、逆にもし俺の指にダメージでも受けたら、サイアク俺の音楽人生が終わりになっちまうかもしんねぇから、だから手は出さなかった…」
「…!」
そのときあたしは、ピアニストのクセにバスケをして指を骨折した桜庭寛也とは違うな、と思った。
「そっか。えらいね」
「ごめんな…迷惑かけちまって……」
「うん。さすがにケーサツから電話がかかってきたときはあたしもビックリしたよ」
「悪りぃ…。警察には家族の連絡先を教えろって言われたんだけど、家族の顔なんてちっとも浮かんでこねぇ……。浮かんでくるのは蓮華の顔だけだった……」
「………」
「だからケーサツに蓮華のケータイの番号を教えたんだ……」
「貴志……」
貴志にはあたししか頼る人間がいないんだ…。
やっぱ、あたしが貴志の面倒を見てあげないと、このままじゃ貴志はまるで“捨て猫”みたいになっちゃう……。
「あんな酔っ払いオヤジなんか殴って、逆にもし俺の指にダメージでも受けたら、サイアク俺の音楽人生が終わりになっちまうかもしんねぇから、だから手は出さなかった…」
「…!」
そのときあたしは、ピアニストのクセにバスケをして指を骨折した桜庭寛也とは違うな、と思った。
「そっか。えらいね」
「ごめんな…迷惑かけちまって……」
「うん。さすがにケーサツから電話がかかってきたときはあたしもビックリしたよ」
「悪りぃ…。警察には家族の連絡先を教えろって言われたんだけど、家族の顔なんてちっとも浮かんでこねぇ……。浮かんでくるのは蓮華の顔だけだった……」
「………」
「だからケーサツに蓮華のケータイの番号を教えたんだ……」
「貴志……」
貴志にはあたししか頼る人間がいないんだ…。
やっぱ、あたしが貴志の面倒を見てあげないと、このままじゃ貴志はまるで“捨て猫”みたいになっちゃう……。


