【短】花火、夏の恋。

「ははっ!うん、ありがとう」


ドキッ


あたしなんかの言葉で、すごくうれしそうに笑ってくれた。


「いいの?あたし、菊地くんを好きでいても」


今日で諦めるって決めたのに、膨らんでしまったこの気持ち。

切り捨てなくていいの?


「当たり前じゃん。つか、今更やっぱ嘘だとか言うなよ?」


「でも、あたしなんか…!」


そう言いかけたあたしの口を、大きな手の平でふさぐ。


「前から思ってたけど、北川は自分を下げ過ぎ。十分魅力的なのに」


「そんなことっ」


「俺には眩し過ぎるぐらい。顔も声も性格も…かわいいとこばっかじゃん」


ずっとずっとコンプレックスだった自分。

特に何か目立つわけでもなく、平凡の塊みたいなあたしが嫌だった。


菊地くんは、そんなあたしでもいいの?