【短】花火、夏の恋。

ヒュー……


ドンッ!


そのとき、空に鮮やかな花が咲いた。


「……始まったな」


「綺麗…」


何度も見てきた花火のはずなのに、今までで一番素敵な景色に見える。


このまま時間が止まればいいのに。


「好き」


え?あれ?

今あたし声に出したっけ?


ううん…あたしじゃないよ?


「俺、ずっと前から北川のこと好きだった」


ヒュー……


ドンッ!ドンッ!ドンッ!


花火の光に照らされて、ハッキリと見える菊地くんの顔。


真っ直ぐあたしを見つめる瞳。

少しほてった赤い顔…。