「ハァ…ハァ…暑っ」 屋台がある道路から少し離れたから、人もまばら。 あたし達の乱れた呼吸が静かに響く。 「ははっ、久々に走った!」 スッと離れた手と手。 でもまだ熱はちゃんと残ってる。 「……あのね、あたし…菊地くんのこと」 この熱が冷めない内に、夢から覚めない内に…伝えたいと思った。 今までは伝えたってきっと、フラれるなら意味がないと思ってた。 でも、違う。 伝えたい。 知って欲しい。 あたしはこんなに、こんなにも…。 「北川?」