【短】花火、夏の恋。





「ハァ…ハァ…暑っ」


屋台がある道路から少し離れたから、人もまばら。

あたし達の乱れた呼吸が静かに響く。


「ははっ、久々に走った!」


スッと離れた手と手。

でもまだ熱はちゃんと残ってる。


「……あのね、あたし…菊地くんのこと」


この熱が冷めない内に、夢から覚めない内に…伝えたいと思った。


今までは伝えたってきっと、フラれるなら意味がないと思ってた。


でも、違う。


伝えたい。


知って欲しい。


あたしはこんなに、こんなにも…。


「北川?」