仮縫いコーデ


年末の大掃除ばりにゴミ袋が散乱してたり、突然キレた生徒の仕業みたいに机がめちゃくちゃに追い出されてたり、

とりあえず剥がすことを優先されたらしくガムテープの花畑が育てられてたり、段ボールの洪水が起きてたり、

後片付けの最中なだけあって、教室じゃスペース足らずで廊下にまで皆が忙しくやってる。


そんな狭い通路を俺らはさっきから幅とる衣装で駆け巡ってる訳だから、

そりゃもう迷惑、非常識過ぎることだろう。


「遅くなってる、早く」
「結構ドレス重たいんだよバカ」

それなのに、働き者を労らわずに、真っ白のベール、真っ白のドレス、真っ白のグローブ、可愛い花嫁姿に胸キュンを止められない。

薄い水色のブーケはしゃあなしで俺が持ってやり、とにかく走る。



「さっき校門とこ居たよー? 頑張れー!」

なぜ、こんな風にサボんなって怒られずに、人捜しの協力してもらえるのかって?


そんなもん、片付けをサボる許可なら得なくとも、日頃の行いで許されると分かってる。

顰蹙を買うのではなく、愛されるキャラだということくらい余裕だ。


だって、特別な日なんだ。
許容される日、それが文化祭だ。





「カメラマーン!!」



うざいくらい捜して、しつこい程に追いかけた。

ツボをつけている自信がある、俺なりに最高だ。


若気の至りでアリだろう。
高校生クオリティーで許されるはずだ。


「カメラマン!」

ヒーローを呼ぶようにして叫んだ。