『痛いじゃん!』
怒られると思ってた。
だけど、今日は学校全体に文化祭の魔法がかかってしまっている。
「これ二次会で着たいね」
ふわりと微笑み、
可愛らしいことを言う。
どうしようか。
世界で一番美少女に見えちゃう。
魔法の威力がききすぎたんだ。
『もちろんだよ、ずっと俺と居てくれる?』
やっぱりイケメンに囁けない。
「あっそ、ご勝手に。宣言されたって俺は関係ないし。でもじゃあまあ体型キープしろよ?」
ほら、ダサい俺は素直に愛を歌えない。
甘いムードはらしくないが、それでも旦那気分にはなる。
「ん。立ってよ妻よ」
差し伸べた手に、好きな子の白い手が重なった。
パシャッって鳴った。
カメラマンは正義の味方だ。
卒業アルバムを見て失笑する数年後の俺の隣で、多分この子も笑ってるんじゃないかな?
そのぐらいは魔法の後遺症で信じてみよう。