「して、どこへ行くつもりじゃ」

 ユラウスは青毛(あおげ)の馬にまたがり、平原を見渡す青年に訊ねた。

「そうだな」

 思案しながらシレアは、彼がまたがっている見事な黒い馬を見つめる。

 森を出て馬を捕まえろと言われたときはどうしたものかと思ったが、幸運にも馬の群れが二人の眼前を横切った。

 持っていた馬はバシラオのおかげで逃げてしまったらしい。

 カルクカンは馬ほど胴体が長くはない。

 大人二人が乗るには無理がある。

 でかい鶏だと思えば解りやすいかもしれない。

 とはいえ、一人で捕まえるのにはそれなりの苦労をした。

 当のユラウスはそれを解っているのだろうか。

 今後の旅が面倒になりそうだと嫌な予感が過ぎる。

「このまま北へ」

「エルフの領域か」

 ユラウスと同じく、古くからの種族で他種族との交流は薄いものの、敵対的ではない。