「どうした?」

 剣の柄を握り、険しい表情を見せたシレアに眉を寄せる。

「家の中に」

 男にそう促すと、ただならぬ気配に身構えた。

 近づく足音と低い唸り声──想像している獣ならば厄介だ。

 ズシンと地を踏みしめて現れた獣たちに男は目を見開いた。

「バシラオじゃと!? 馬鹿な!?」

 熊を思わせる顔つきに大きな体、虎のような文様を浮かび上がらせた三体の獣は獲物を前にして唾液を滴(したた)らせる。

 大きく鋭い爪を持つ前足で地面をかき、鼻息荒く威嚇(いかく)した。