カルクカンはその強靱な二本の脚でしっかりと大地を踏みしめ、恐れる風でもなくシレアを乗せて踏み出す。

 枝を広げる木々の隙間から漏れる陽の光は、あたかも得体の知れない存在を映し出すようにまばらに差し込み、鳥の声は凶暴な獣の気配に怯えるように甲高く鳴り響く。

 青年は慎重に気配を探りながら奥へと向かった。

「本当に広い森だ」

 歩きにくさと警戒しながらでは、休憩を交えているとはいえ大した距離は進めない。

 陽はすでに傾きかけているというのに、一向(いっこう)に先が見えてこない。

「今日はここまでか」

 カルクカンから降り、森に入って二度目の夜を過ごす。