そろそろ息も限界に近い──それでも、ふりほどかれないように柄を強く握りしめた。

 どちらが先にくたばるかの耐久戦だ。

 しばらく耐えていると、最後のあがきか巨大魚は勢いよく浮上して飛び上がった。

 激しい水しぶきのあと、魚は力尽きて水面に浮かんだまま動かなくなった。

 ようやくの決着に溜息を吐き出し、魚を陸に引き上げる。

 服を着て魚をさばき始めた。

 大きな鱗は陽に照らすと七色に輝き、とても綺麗だが鱗を全部を取ってはいられない。

 面倒なのでまず三枚におろして身の方を皮からそぐ事にした。

 血を洗い流し、一口大ほどに切り分けていく。

 この魚の鱗は薬になるため、薬剤師や錬金術師などに売れるだろう。

 乾かしておけば皮から勝手に剥がれ落ちるので、その辺に広げておくことにする。