己の身体能力を最大限に活かした装備とも言えるが、それだけ身を危険に晒すことにもなる。

 集落では彼に勝てる者はおらず、もちろんそれが旅の全てで通用するとも思ってはいない。

 素早い動きと繊細な剣さばきは流れるように敵を切り裂き、剣舞は見事なまでに美しく見る者を魅了する。

 
 その容姿に「専属で雇いたい」と持ちかける領主が今までに何人もいたが、彼はそれをことごとく断ってきた。

 専属での雇用なら多額の報酬が得られ、それなりの生活が見込める。

 けれども、それはシレアが望むものじゃない。

 彼が本当に求めているものは──