[何もしないことは従犯(じゅうはん)にも等しいものだと、まざまざと感じた]

 この世界は滅びて良いと思えるほどには、罪深くはない。

 古き仲間を止めずしてなんとする。

 金色の目を細め、前方にいるシレアの背中を見つめた。

[さあ。我らの背に]

 ドラゴンたちは体勢を低くし、背中に乗るように促すと、魔法使い(ウィザード)と射手(いて)たちがその背にまたがった。

 しっかりと乗ったことを確認したドラゴンは、ひと声上げて翼をはばたかせ空に舞い上がる。

 モンスターの攻撃から解放されたウィザードたちは詠唱を始め、アーチャーはわずかな傷口をめがけてじっくりと狙いを定めた。

 シレアの突き刺した剣からネルサの護りは弱まり、こちらの攻撃が利き始める。

 ネルサはその巨体でねじ伏せようとするも、徐々に体力は奪われていた。