[こんな虫けらどもに、我が──]

 認めぬ! 認めぬぞ!

[何をしている。我に従え。敵をことごとく滅するのだ!]

 低く発した命令は、従うべき主を見失っていたモンスターたちに均(ひと)しく響き渡り、再び人々に襲いかかる。

「ぬあー! めんどくせえ!」

 折角大人しかったのにとエンドルフが怒鳴りながら応戦した。

「くっ──また面倒なことに」

 アレサは細身の剣を振るい、コボルドどもを倒していくが、その数はまるで減る気配を見せない。

 否、数だけではなく、さきほどよりも凶暴性を増している。

 モンスターの群とドラゴンを相手にしては友軍が来てくれたとはいえ、これはさすがに厳しい。