「あんなのとどうやって闘えっていうのよ!」

 漆黒のドラゴンを指差してヴァラオムに声を張り上げる。

[大きさは問題ではない]

「これは問題でしょ!」

 さすがのモルシャも威勢を張ってはいられない。

「色んな遺跡を見てきたけど、巨大な像でもここまでの大きさはなかったわ」

 未だかつてない恐怖がたったいま、目の前にある。

 それがひしひしと伝わってくる。

 巨体を覆う漆黒の鱗はギラギラと輝き、不気味な存在感をまとっている。

 誰もがその姿に息を呑んだ。

「うへ。でけえな」

 シレアは隣で呑気に発したエンドルフを一瞥し、

「足を狙え」

「よっしゃあ!」

 男は戦斧を振り回し仲間たちの元に駆け出した。