「貴様はシレアとは根本的に違う。奴にはこの世界で生きていく力があった。貴様にその力を与えたのは俺だ」

 憎しみによって貴様は生きる力を得た。

「違う!」

 憎しみから強くなろうとしたんじゃない、強くなるために憎んだのだ。

 そうしなければわたしの心は正気を保てなかった。

「わたしの手は汚れ過ぎた。貴方のために、多くの血を流した」

 もう、戻れない。

「わたしは、命を奪いたかった訳じゃない!」

 シルヴィアは叫び、涙を流してネルサに剣を振り上げた。

「どうだかな。殺しは楽しいだろう?」

 己を偽るな。命を貪り奪う悦びにうち震えるがいい。

「誰が、楽しいものか」

 誰かを傷つけるたび、この胸は痛み。

 誰かの命を奪うたびに、わたしのなかの何かが壊れていく。