「いい加減に、しろ」

 迷うシルヴィアの脳裏に過ぎるのは、

「お前は自由にはなれない。作り物のお前に、誰が優しくしてくれようか? 俺だけがお前を理解してやれる。俺だけがお前の拠り所」

 何度も、何度も耳元で紡がれた甘い声。

「解って、います」

 わたしはこの世界に拒絶され、決して受け入れてはもらえない存在なのだ。

 歪んだ方法で生まれたわたしに、希望を抱く権利すらない。

 絶望から抜け出る事が出来たその先には、やはり絶望しかなかった。

「わたしは、お前が羨ましかった」

 成功したと歓喜を上げて賛美され、大切なものでも扱うように育てられただけでなく、自由までも手にした。

 惨めで、悔しくて、憎くて、羨ましくて──わたしは自らの心を凍らせた。

「わたしは、どうすれば良かったと言うのか!」

 どうすれば愛されたのだ。

 今更考えたところで、もう戻れやしない。