こんなわたしでも頼りにしてくださる。

 わたしの力が必要だと言ってくださった。

「わたしはネルサ様のもの、全てはネルサ様のために! ネルサ様がお前の力を求めている。抵抗は無意味だ。大人しく従え」

 ネルサ様が世界を支配する。

 世界の王になる。

 それは決められたことなのだ。

 そう語るシルヴィアの瞳には狂喜が浮かんでいた。

 盲信し、狂信者となっている女を見つめて眉を寄せる。

「奴がお前に何を言ったのかは解らない」

 ただ、

「それは、真実の言葉なのか」

「黙れ! 貴様などに何が解る!」

 ただ死ぬことだけを願い、ただ憎しみだけが心を満たしていた漆黒の年月を誰が救ってくれたのか!

「それについては不憫(ふびん)に思う。しかし、だからといって全てを憎むことは違う」