「お前の好きなことをすればいい。気に入らない奴を殺すも壊すも思いのままだ」

 やりたいことをやれ、お前が神になる世界だ。

「欲しいものは何でも手に入る。躊躇うことなく奪え」

 ともすれば、それは残酷な言葉のように聞こえてある種の甘言にも思える。

 差し出された手をとる者は少なからずも存在する可能性を秘めていた。

 しかれど、

「ならば従う理由はない」

「なんだと?」

「私には世界を従わせなければ得られないものなどない」

 張りぼての山を築きたければ他者を巻き込まず己のみですればいい。

「そうか」

 差し出していた手を強く握る。

「ちょっと慈悲を与えてやれば、つけあがりやがって」

 低く怒りの声を震わせ、右手を掲げた。

「なら、もろともに滅びろよ」

 それを合図に、モンスターたちが醜い叫びと共に錆びた剣を振り上げる。

「来るぞ!」

 アレサは剣を構え、立ちはだかるモンスターどもを睨み付けた。