[やはり、そうなのか。彼にはドラゴンの血が──!?]

 そうか、そういう事なのかとシレアの容姿をしげしげと舐めて息を呑む。

 高度な魔法を使いこなすドラゴンはときに、美しい人間に化けて人里や街に出現することがある。

 それを思えば、彼の面持ちはそういう事であったのかと驚愕した。

「遅いんだよ」

 ヴァラオムをあざけり、シレアに手を差し出す。

「解っただろう、お前はこちら側の存在なんだ。理解したなら俺と共に来い」

「え、どういうことよ?」

「シレアにドラゴンの血が混ざっているというのか!?」

「そんなことがあるのですか?」

 戸惑うアレサたちを意に介さず、シレアは差し出された手をしばらく見つめた。

「そちらに行くとして、私に得はあるのか」

「ああ?」

 抑揚のない声色に多少の苛つきを覚えシレアに眉を寄せる。