[お前は封印を受けていたはずだ]

「いつの話だ。そんなもの、とっくの昔に解いてやったよ」

 苦々しく放たれた言葉にネルサは鼻で笑い、己を見せつけるように両手を広げた。

「ちょっと、封印て何よ」

[奴の意思は邪悪なのだ。それ故に封印された]

「そうさせたのは誰だ。無理矢理に俺を造り出したのは誰だ」

 ヴァラオムの言葉が呼び水となったのか、ネルサからどす黒い何かがじわりと染み出してくる。

 それは、強烈な悪意と憎悪──身震いするほどの寒気にマノサクスでさえ顔をしかめた。

「造り出された?」

 その言い方はシレアのことではないか。

 アレサは眉を寄せ、眼前の男をまじまじと眺める。

[彼らの種族は滅びかけていた]