「手紙書いてくる!」

 モルシャが転がるように駆けていくと、それぞれが顔を見合わせる。

「オレも書いてこよ」

 マノサクスは畳んだ翼を邪魔そうにしながらシレアの家の入り口に向かった。

 それを見送りつつヴァラオムはユラウスに視線を向け表情を険しくする。

「そなたの役目は重要だ」

「うぬ」

「シレアはまだ若い」

「心得ております。あやつ一人に何もかもを背負わせるつもりなど──」

「上手く導いてやってくれ」

 言葉成らざる者どもは、もはや他人事としている訳にはいかない。

 その傍観が己を滅ぼすこととなることを知るべきときがきた。

 迫り来る狂気に、誰もが立ち向かわなければならないのだから──