「ヴァラオム」

「えっ!?」

 知恵のあるドラゴンは人に化けられるとは聞いていたが、これほど見事に変化できるとはとユラウスたちは感嘆する。

「何故、仲間たちは他種族であるのか。どうしてそなたがその中心だったのか」

「ヴァラオム殿、それはどういう事じゃ」

「それぞれが上辺だけの交流を続けていた時代は終わりを告げる。おぼつかない均衡を崩し、立ち向かわねばならぬ」

 まさに、ときは満ちたのだ。

「そうか、親書」

 共に立ち向かうべき敵が現実にいることを、多くの人々に伝えなければならない。

「うむ」

 アレサのつぶやきにヴァラオムは深く頷く。

「他種族と旅をしてきたそなたらだからこそ、その重みは文字へも表れる」

 いち早く敵を目前にした者だからこそ、伝わるものがあるだろう。