「炎とはどういう事じゃ」

「コボルドどもが街にあふれている」

 遠詠みの言葉に、一同は怪訝な表情を一様に強くした。

 水晶玉に映るのは、体毛のない犬に似た容姿のモンスター。

 小柄な体格で、一匹一匹ならばさほど強い相手ではないが群れを成すと厄介なモンスターである。

「まさか、敵が動き出した?」

「草原の民の集落は──集落はどうなっている!?」

 アレサは震える声を抑え、遠詠みに詰め寄った。

「待て待て、落ち着くんじゃ」

 ユラウスが肩を掴んで制止すると、アレサはハッとして深く息を吸い込んだ。

「すみません。もう大丈夫です」

 微かに声は震えているものの、落ち着きは取り戻したようだ。

「女が見える」

「女?」

 シレアは、脳裏に浮かんだ影に顔をしかめた。