「おぬしのことを見たと言って、数日前に尋ねてきていたのじゃ」

「ほう?」

 千里眼(せんりがん)とも呼ばれ、ユラウスの古の民が持つ先詠みとは異なり、何かの媒体を通してのみ、少し先の未来や遠くを見ることの出来る能力のことである。

「今まで何故言わなかった」

「つい忘れておったんじゃい」

 シレアたちのあまりにもの出現の仕方に、すっかりと失念していた。

「王都に炎があがっている」

 ヴェールの向こうから覗くオレンジの瞳がシレアを一瞥し、低く発した。

「人間の街か」

「王都って──ルフィルムーア?」

 アレサとモルシャがそれぞれ応えると、ユラウスは眉を寄せる。