「ずいぶん前から感じている視線の正体がわからない」

[ほう?]

 黄金色の瞳がシレアを見下ろす。

「突き刺さるようでいて、時に柔らかさが垣間見える」

 その視線が敵のものであるが故に、覗く柔らかさは何なのかと考えずにはいられない。

 影の言葉が真実なら、決して相容れぬ壁がそこにある。

 なのに、どこか気分は晴れない。

「私が何者なのかは理解した。しかし、己の持つものが何なのかがまだ解らない」

 造られた存在というだけで狙われるものだろうか。

 原因の一つである事は明白だが、それだけで相手が危機感を持つというのは、いささか妙な話だ。

[うむ、確かに]

 いくら考えても解らない事は深く考えないシレアだけれど、そうも言ってはいられない状況ではある。