──結局は何も決まらずに再び夜が来る。

 シレアは集落から出てほど近い岩に腰を落とし降り注ぐ輝きに目を細め、ゆっくりと何かを噛みしめるように瞼(まぶた)を落とした。

 シレアは集落にいた頃、何か考え事があるとよくここに来ていた。

 そのため、集落の周囲を巡回する男たちは久しぶりの光景に懐かしく笑みを浮かべる。

[眠れぬのか]

 背後からの声に目を開く。

[思う処を言うてみよ]

 ずしりと重たい足取りで歩み寄り、シレアの隣に腰を落とす。

 そうして、彼の前にあるすっかり火の消えた焚き火のあとを見やり、ゆっくりと息を吹きかけた。

 たちまちに火はつき、その炎に照らされたヴァラオムの体は暖かな色をまとう。