「シレアのことが見える前に、なにか見えていたのですか?」

「もちろんじゃ。わしの体が炎に焼かれる様子がな」

 あまり見たくない光景だなとモルシャは顔をしかめた。

 まずそれを初めに見たのならば、シレアの旅を止めようとしたのも頷ける。

「奴らが力をつけるために今まで隠れてたっていうのは解るとして、どうしてシレアが要(かなめ)なの?」

「シレアの出生が関係しているのかもしれんの」

「どういうこと?」

「そうか、おぬしは知らぬのじゃったな」

「なによ」

 意味深に口を開いたユラウスをいぶかしげに眺めた。

「いいか、今から話す事をしっかりと聞き入れるのじゃ」

 念を押すように、ゆっくりと語り始める──