[おや、ユラウス殿は知らぬのか。呼び戻す魔法がからけられておるのだよ]

「なんですと?」

 一度使えば切れる魔法だが、それをかけておけば呪文一つで飼い主の元に転送される。使える者の少ない特殊上級魔法だ。

[今回は我が運んできたので魔法は継続されておる]

 ソーズワースのあごを爪で撫でながら応えた。難しい魔法を駆使するくらいなら連れ歩けばいいとは思うが、離れた時には役に立つ。

「今度オイラも教えてもらおうかな」

「相当に癖のある魔法じゃぞ」

 昔に覚えようとして出来なかったことを思い出す。相変わらず習得力の高いシレアに感心した。

「あ、シレア」

 出てきたシレアとディナスにヤオーツェが駆け寄る。

「大丈夫かの」

「問題ない」

「そうか」

[シレア、健やかであるか]

 声をかけたヴァラオムに友の言葉を交わすシレアをユラウスは静かに見つめた。