暴れるギャラルを制してさらに剣を押し込むと、しばらく小刻みに痙攣し、やがて動かなくなった。

 シレアは完全に死んだことを確認して、ゆっくりと剣を引き抜く。

「はあ……」

 疲れを溜息に乗せ、動かなくなった獣を見下ろしてその体にそっと触れた。

 闘っている間に伝わってきた生命の脈動も今はなく、その温もりも急速に失われていく。

「いきなりこれでは先が思い遣られる」

 肩をすくめてナイフを取り出し、ギャラルの毛皮を剥いで肉を小さくまとめていく。

 そして、やや傾斜のきつくなった道を再び登り始めた。

 寒さはいち段と増してゆくが気にしてもいられない。

 道と呼べるものはやがて途絶え、微かに残された獣道を頼りに進む。