「もしやシレアか」

「我らには魔法を使える者は少ないですからな」

 長老と呼ばれた老人が到着すると、なにやら円形をした不思議な文様の中が強い光に満たされていた。

「おおお!? 本当に輝いておる……。──長くないか?」

 魔法そのものすら使えない長老だが、転送魔法円(ポータル)から現れる場面には過去、何度か出くわしたことはある。

 転送魔法とは、こんなにも長い時間を要しただろうかと記憶にある時間よりも長い輝きに首をかしげた。

 それでも待っていると、大きな黒い影が姿を現し始める。

 はて、シレアはこんな大男ではなかったはずじゃが。

「うおっ!?」

 輝きが収まり、想像していたよりも大人数で声が出る。

「ああ、やっと着いたの?」

 時間がかかるかもしれないと聞いてはいたが、けっこう長かったなとヤオーツェは疲れたように肩をすくめる。