工芸にでも使うのだろうか、鱗は綺麗さっぱりはぎ取られている。

 焦げた皮の色から推測するしかないが、元は綺麗な色をした魚だったのかもしれない。

 最長で二メートルにもなる銀色の淡水魚で、尾に近づくにつれて美しい虹色の鱗を持つ。

 その白身はほろほろとして塩焼きが主な食べ方だ。

 気性は荒く、激しく暴れるので釣り上げるのはなかなか難しい魚なのだが、客人をもてなす時には数人かがりで捕りに行く。

「とても美味しいですよ。是非、食べてください」

「かたじけない」

「オレ、これ大好き!」

 リャシュカ族とは交流が盛んなためか、コルコル族の子どもたちはみんなマノサクスの周りで遊んでいる。

 彼はそれに怒るでもなく、一緒になって遊んでいた。

 幼なじみだというセルナクスとはまったく逆の性格に、二人が仲良しだという事がおかしくもあり納得もした。