──その夜

「ホントにすいません」

「いやいや、気にせずともよい」

 謝るレキナにモルシャは申し訳ないと思う事もなく、木の上で機嫌を悪くしている。

 そんな彼女をよそに、ユラウスたちは歓迎のもてなしを受けていた。

 それぞれの前に差し出された料理からは、食欲をそそる香りが漂っている。

 野草の炒め物や彼らが育てて収穫した野菜のスープなど、こぢんまりとした食器に盛りつけられ、見栄え良く木の芽が飾られていた。

「これヒャノ? すげえ!」

 大皿で運ばれてきた料理にマノサクスが声を上げる。

「ほほう? 町ではあまり手に入らない淡水魚じゃな」

 巨大な魚の丸焼きを見やる。

「コルコル族の村の近くに大きな湖があるんだよ」