なんの後腐れもないかのように振る舞っているシレアに、ユラウスたちは眉を寄せる。

 ここまであっさりと、己の出自を受け入れる者がいるのかと唖然とした。

 考えてもみれば、このような真実をどう受け止めるかなどユラウスにも解りかねることだ。

 本人ならば、ことさらに実感しづらいのかもしれない。

 否、本人だからこそ、心の奥底でもやもやしていた霧が晴れ、どこか納得した結果の態度なのかもしれない。

 彼らしいといえばらしい。

 元気づける言葉も見つからないのだ、むしろこちらには助かる。

 彼のなかで聞かされた真実をまとめる時間も必要だろう。

「して、どこに向かうのじゃ」

「南下してコルレアス大陸に渡る」

「コルレアス大陸──。獣人族のいる大陸ですね」

 アレサの言葉にヤオーツェが「うぇ~」と舌を出した。