「彼をご存じかな?」

「いいや、別人だろう」

 やはり、なにかを知っている。

 そう確信し、最後の言葉を吐き出した。

「彼は、名をシレアという」

 それを聞いたマイナイは目を見開き、椅子が倒れてしまうほど勢いよく立ち上がった。

「生きていたのか!? 本当に!?」

 足音を響かせて青年の両肩を掴むと、視線をやや上げてシレアの瞳をじっと見つめる。

 しばらく彼の瞳を見つめていたが、ふいに口の端を吊り上げた。

「そうか、そうか。生きていたとは──。それで、何用か?」

 先ほどの不機嫌な態度から一変し、マイナイはある種の笑みを貼り付けた。

 それは、どこか狂喜じみているようにも感じられ、アレサたちには違和感として見て取れた。