──古の民から紡がれた言葉は予想に反して短く、集約されたなかにある見えない敵への不可思議な感覚が見て取れた。

「シレア殿の存在が、この世界を左右すると?」

 聞き終わり、信じられないといった面持ちでシレアを見つめる。

「どのように関わる運命なのかは解らぬが、立ち向かうには仲間が必要じゃ」

「で? おまえがその仲間の一人だって?」

 とてもじゃないが信じられないと眉間にしわを寄せるセルナクスに、マノサクスは水色の瞳を向けてにこりと微笑んだ。

 そうして、魔導師の一人は再びシレアの前に立つ。

 目深に被っていたフードを脱ぐと、輝く銀髪がさらりとこぼれた。

 アメジストの瞳は神秘的に輝き、シレアをじっと見据える。

 あどけなさの残る面持ちからして少女だろうか。

 髪を飾る金細工のサークレットが、魔導師の中でも高い地位にある事を示している。