手厚い看病を受けていたがとうとう先日、息をひきとった。北の厳しい大地で暮らしていたならば、今まで生きていたか知れないだろう。

 マノサクスは大きな体をすくめて溜息を吐いた。

 彼の悲しみが見て取れて、しばらく無言で見つめる。

「その魔導師は、お前と出会えて幸せだったろう」

「そうかな。そうだったらいいな」

 嬉しそうに微笑む表情は少年のようでシレアも笑みを返した。

 年の頃は同じくらいだと思われるのだが、落ち着いたシレアとは違い子供っぽくも感じられる。

 そもそもシレアが落ち着きすぎているという点も否めない。

「そいつがさ、その運命の人間と旅をしろって言ったんだ」

「従うつもりなのか」

「まだ解らない。だから、会って決めようと思って」

 大きな翼を小さくはばたかせ、マノサクスはシレアを見下ろした。