五十代ほどの男性の背中には折りたたまれた立派なブラウンの翼があり、その両脇には護衛だろうか武器を携えたリャシュカ族が二人立っている。

 中老の男性は近づいてくるシレアたちを見やると、ゆっくりと立ち上がり小さく会釈した。

「ご足労をかけて申し訳ござらぬ」

「構わない」

 それだけ発した青年を席に促し、一同が腰を掛けたことを確認する。

「シレアというのは、そなたか」

「用件は」

 険があるでもなく尋ねたシレアに、レイノムスは物々しい面持ちを向けた。

「実は、魔導師たちの先詠みで貴殿が危険な人物だと出たのだ」

 その言葉にユラウスたちはざわめく。

「シレアが? どういった内容が出たのですか」

 アレサの問いかけにレイノムスは溜息混じりに首を振る。