──しばらくは楽しく空の旅を満喫していた一同も、なかなか見えない目的地に暇を持て余す。

 そのとき前方に、浮遊する影を視界に捉えた。

「お? ようやくか」

 空中にぽつんと浮かんでいた小さな黒い影は近づくにつれて大きくなり、地響きのような音が聞こえるのではないかと思うほど目の前に広がった。

 空に浮かぶ大地──天空大陸ウェサシスカだ。

「でけえ~!」

「相も変わらず。でかいのう」

 ウェサシスカは、要石(かなめいし)という浮遊石で上空に浮いている状態だ。

 大陸の四方に建てられたモノリスが中央の城にある要石と共鳴を起こし、この巨大な大地を安定させている。

 雲は大陸の下にあり、嵐の心配もない。

 気をつけるのは時折、発生する稲妻くらいだろうか。

 雲から上に伸びる稲妻は驚異の一つだ。

 おおよそひし形をした雄大な浮遊大陸は、風任せで空を移動していく。

 シレアは、いくつかの監視塔を確認するようにそれぞれを一瞥し、近づく大地を見つめた。