──夕暮れ時のギュネシア大陸は、あかね色に染まっていた。

 かすれた雲はこれから訪れる夜を告げるように、映し出す色を変化させながら流れていく。

 ユラウスは、背後の足音に溜息を漏らして振り返る。

「本当について来る気かの」

「あたりまえだろ」

 六本足のトカゲにまたがるヤオーツェは鼻息荒く応えた。

 緑がかった褐色の肌をした六本足のトカゲは、スワンプドラゴンと呼ばれるモンスターだ。

 主に湿地帯に生息するドラゴンの眷属だが、知能は低く凶暴性もさほどない。

 僅かに飛び出た翼は、遙か昔には空を飛んでいた名残りだろう。

 すらりとしている割には俊敏とは言えず、性格は図太く植物以外に虫も食べる。

 人によく馴れるので、こうして乗り物としても利用している。

 ギュネシア大陸には馬が少なくそのため、リザードマンたちは代わりにスワンプドラゴンに乗っている。