「うヌう」

 いくら探してもヤオーツェは見つからず、リュオシャルは集落で気をもんでいた。

 ふと、遠方に見慣れた影が見えて駆け寄る。

「ヤオーツェ!? 無事だっタのだな!」

「リュオシャル」

 ヤオーツェは笑顔で駆け寄る仲間に、そんなに心配してくれていたのかと驚いた。

「よクぞ、無事でイてくレた」

 安堵してシレアに視線を移す。

 しかし、その後ろに見えた姿に素早くヤオーツェを背中に回し剣の柄を握った。

「ガビアリアン!? 何故キサマが!」

「ま、待って! ケジャナルは敵じゃないよ」

「下がってイろ」

 慌ててあいだに入ってきたヤオーツェを下がらせようとするが、一向に従わない彼に戸惑う。

 何よりも、リザードマンの集落に足を踏み入れたガビアリアンは剣も抜かず、柄にも手を添えずに落ち着いた様子で立っている事に目を丸くした。