「私は、おまエと堂々と話がしたイ」

 私たちは何もやましいことはしていないのに、どうして隠れて会わなければならないのだ。

 それにヤオーツェは言葉を失った。

 自分だって、彼女と普通に付き合えたらと思わなかった訳じゃない。

「長きに渡った争いが彼女一人で解決出来るとは思わぬが、何もしなければそれこそ永遠にこのままじゃ」

「ケジャナルである必要があるの?」

「お前も解っているのだろう?」

 その問いに体を強ばらせる。

 そうだ、解っている。

 実現された形を、実際に見せつけることが出来るいまがチャンスなんだと。

「行こウ」

「ケジャナル──」

 決意を固めた瞳に、あとの言葉が続かなかった。

 彼女はずっと、考えていたんだ。

 誰かがその背中を押してくれることを願い、いまがそのときなのだと踏み出したんだ。

 強く、堂々とした歩みにヤオーツェも続いた。