皮肉交じりのシレアの言葉にユラウスとアレサは肩をすくめた。

 そんな三人のやり取りに緊張も和らいだのか、ヤオーツェは体の力を抜く。

「なんでもないよ」

 初めて会った人間に警戒するのは当然だろうと、ぶっきらぼうに答えて遠ざかる背中を見つめる。

「いカがなされタ」

 未だ見分けがつかないが、おそらく声を掛けてきたのはリュオシャルだろう。

 彼も見回り役なのか、長い槍を手にしていた。

「随分と警戒しているようだが」

「近頃、ガビアリアンどモを集落の周辺で見かけルのダ」

 リュオシャルはオレンジの瞳を険しくする。

「対立しておるのか?」

「今は休戦協定を結んでイる。しカし、いつそれが破られなイとも限らなイ」

 あ奴らを信じられるほどには、我らはおめでたくはない。憎らしげにつぶやく。

「どういうことです?」