多種多様な種族が存在し、その多くはモンスターの息づかいに恐怖を覚え、商人たちは旅団を組んで街から街に移動する。

 錬金術師はこの世の理(ことわり)を追及し、魔法使い(ウィザード)たちの唱える呪文に力が宿っていく。

「シレア!」

 男の声に振り返ると、斧を背中に装備しているガタイの良い青年が馬に乗って手を振っていた。

「エンドルフ」

「奇遇だな」

 エンドルフと呼ばれた男はシレアの乗り物を一瞥(いちべつ)し、その姿に若干の異質さを表情に表した。

 爬虫類に似た風貌に、青みがかった緑色をした鱗のない肌──カルクカンと呼ばれる生物だ。

 顔つきは亀のようで前足は無い。

 しかしその強靱な後ろ足は大地をしっかりと掴み、走る速さは馬と同じかそれ以上である。

 カルクカンには他に、赤や黄色や緑といった多様な色がある。

 ほとんどは野生のものを捕まえて飼い慣らすため、希少だと言える。