大地に立ったシレアは、この地の気を読み取るべく目を閉じて周囲の気配を探っていた。

 今はまだ右も左も解らない状態だ。

 新たな慣れない地を把握するには、多くの時間を要するだろう。

 エルフには、敵や自然の気配を探る生まれ持った能力が備わっているが、人間はそうはいかない。

 澄んだ青い空に、どこか刺すような空気が肌に伝わる。

 これが緊張からなのか、見えない敵の気配のせいなのかを計りかねた。

 そのとき、馬を進めていた三人の頭上に大きな影が過ぎった。

「む?」

 耳に響いた羽ばたきの音は小鳥などではない、とても大きな生き物だ。

 考えている暇も無く影は突如、一同の前に降り立ち驚いた馬がいななく。